2005-01-01から1年間の記事一覧

「いつかパラソルの下で」森絵都/11

「いつかパラソルの下で」森絵都 角川書店1470 厳格な父に縛られて育った野々と兄春日、妹花、父の死後バランスを失った母。一周忌を前に、父に不倫相手がいたことを知る。束縛から逃れ鮮やかな世界を満喫し、自堕落な生活を送ってきたはずの野々や兄は自分…

「埋み火」日明恩/11

「埋(うず)み火 Fire‘s Out」日明恩(たちもりめぐみ) 講談社1800本 出張で持っていく本は旅行よりも更に難しい。今回は完全に失敗。行きの飛行機でハマり仕事前日なのに最後まで読んで夜中に(泣)。しかも帰りに買った本は機内に忘れてきた、ト…

<10月下旬の読書>

読書力が低下中。でも3冊とも読みでがあります。「となり町戦争」三崎亜紀 集英社1470 公報のお知らせでとなり町との開戦を知った主人公北原修路の元に「特別偵察業務従事者」の任命。戦況の悪化に伴い推進室の香西さんと仮の夫婦になることに。奇想天外な…

<10月中旬の読書>

「ロズウェルなんか知らない」篠田節子 講談社1700本 寂れた何もない村「駒木野」の青年団による村おこしのドタバタを真面目に描いた奮闘記。荻原さんの「メリーゴーランド」を読んだばかりで、題材自体に新鮮味は無いけれど、破れかぶれの“四次元化計画”と…

<10月上旬の読書>

「美食探偵」火坂雅志 講談社1900本 明治時代を中心に活躍した実在の小説家、村井弦斎を主人公にした連作。50万部を越える大ベストセラー、本邦初の美食小説『食道楽』を書き始める時期の弦斎が、大隈重信、伊藤博文、山県有朋ら当時の名士たちの住まう湘…

<9月旅の後の読書>

「アキハバラ@DEEP」石田衣良 文芸春秋1700 あるHPをきっかけに集まった3+3人で出来上がった会社アキハバラ@DEEP。オタクで半引きこもり、社会に適応できてない仲間が集まってできあがったAI型検索エンジンのβ版。これに目をつけたIT業界の…

<9月旅行中の読書>

旅行に持っていく本というのは、すごく悩む。一週間だと3冊は必要でしょ(たとえ読まないにしても)。バランスも大切だし。旅先で処分できるくらいの思い入れ具合の本も必要。できればミステリと時代物も入れたいところだけど。「夫婦公論」藤田宜永・小池…

<9月旅行前の読書>

「反自殺クラブ IWGP5」石田衣良 文芸春秋1600 IWGP1で街、若者、悪意を描写する圧倒的な筆力にうなってから、何年になるだろうか。 本作では、スカウトマン、学生サークル出身者の悪行、伝説のロックスターの詐欺、中国の劣悪労働環境、流行のお…

<8月下旬の読書>

「風の歌星の口笛」村崎友 角川書店1500本 第24回横溝正史ミステリ大賞受賞作。2217年交通事故から回復し愛する女性を失った男、偉大なマザーコンピューター、マムに統べられ機能を停止しつつある街、絶滅に瀕した地球から地球を模して創られた人工惑星へ…

<8月中旬の読書>

気が付いたら8月10日から本のメモが途絶えているのでした・・ これじゃ以前と同じ道を辿ってしまうことになります。なんとか建て直しましょ。「神様ゲーム」麻耶雄高 講談社ミステリーランド さすが本格推理界の奇才麻耶雄高さん。前にも書いたけど、この…

旅行に行ってきます。

明日から遅めの夏休みで旅行に行ってきます。 行き先は今回も、北欧3都市。 戻ったら、少しずつ旅メモを紹介しますので お楽しみに。 プレゼント企画も考えちゃいます。 溜まった、読書メモと最近の手仕事も。 あーぁ、無理かも(笑) ともかく、面白いこと…

「ペギー・スー 鄯魔法の瞳をもつ少女」

「ペギー・スー 鄯魔法の瞳をもつ少女」セルジュ・ブリュソロ 金子ゆき子=訳 角川文庫552 印象な表紙絵(町田尚子さん)でずっと気になっていた作品、今回文庫化。 人類でただ一人悪いお化けが見え、その力ゆえに嫌われ、お化けたちの悪戯で厄介な立場に立…

「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸

「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸 講談社1470 極度の飛行機恐怖症の恩田さんが、初めて憧れの地、イギリスのストーンヘンジやアイスランドの古代遺跡に取材旅行してビールを飲むお話。極度の恐怖に溢れ出す妄想が、理路整然とした評論なんかよりも…

「幸福な食卓」瀬尾まいこ

「幸福な食卓」瀬尾まいこ 講談社1470 参ったな、私は本を読んで泣くことが殆どないんで、“泣ける”小説ってのは信用しないんだけど、ホントに沁みる本。父親の自殺未遂をきっかけにそれぞれが病んだ心を抱える家族。梅雨には体調を崩すわたし(佐和子)、父…

「小学生日記」hanae*

「小学生日記」hanae* 角川文庫460本 すごい。 hanae*さんは北欧雑貨特集がきっかけで知った雑誌「spoon.」のモデルさん。同誌のwebで掲載された作品をまとめたもの。 アメリカ生まれの帰国子女のHanae*が日本の小学生としての日…

「天の前庭」ほしおさなえ

「天の前庭」ほしおさなえ 東京創元社 ミステリ・フロンティア1785 うーん、すっきりしない話は得意じゃない。 父を無くした交通事故の後の長い昏睡状態から目覚めた柚乃は記憶を失っていた。幼い日ドッペルゲンガーを見たといって失踪した母。自分が書いた…

「春を嫌いになった理由(わけ)」誉田哲也

「春を嫌いになった理由(わけ)」誉田哲也 幻冬舎1600本 第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞後の第一作。無職の秋川瑞希は、TV局のプロデューサーの叔母名倉織江から番組に出演する霊能者、マリア・エステーラの通訳を仰せつかる。霊能者による未解決事…

「働きマン 1,2」安野モヨコ

「働きマン 1、2」安野モヨコ 講談社モーニングKC514本 「王様のブランチ」で特集されていた。安野さんは“強気な女が主張する今時なセックスと恋愛話”っていう勝手な思い込み(多分的外れなんでしょうな)で読んだことがなかった。もったいないことをし…

「スウェーデンの小さな庭から」

「スウェーデンの小さな庭から」ビネール多美子 オークラ出版1714本 著者は外国にあこがれ、スウェーデン大使館に勤めたことをきっかけに、実際にストックホルムで仕事をし、ジャーナリストのクラッセと結婚。通訳や日本語講師を経てフリージャーナリストと…

7月に購入した本

今月は控えたつもりだったのに。 「北欧スタイルNo.7」耷出版社1200本 北欧雑貨の紹介。最近は雑貨中心の編集で購入を止められない。まんまと手中に。 「おおきく振りかぶって4」ひぐちアサ 講談社アフタヌーンKC514本 女性にもブレイクの野球マンガ…

7月最後 中島京子、「言葉少年」

「さよなら、コタツ」中島京子 マガジンハウス1400別 雑誌記者のお仕事を通じて、自分の中にストックされていったいろんな「部屋」とそこに住む人たちを小説にしたとのこと。36歳の誕生日を迎える独身女性が男を待つ部屋(表題作)過去の女性を夢に見る結…

「蒲公英草紙 常野物語」恩田陸

「蒲公英草紙 常野物語」恩田陸 集英社1470 「光の帝国 常野物語」から遡って、20世紀初頭、常野の故郷に近い東北の豊かな村の慈愛深い大地主槙村家。お屋敷の末娘聡子お嬢様の話し相手、峰子の目を通して語られる物語。それぞれに個性的な槙村の兄弟達、…

「光の帝国 常野物語」恩田陸

(再)「光の帝国 常野物語」恩田陸 集英社文庫 恩田さんの新刊「蒲公英草紙 常野物語」集英社1470(常野シリーズの2冊目)を読むために再読。ひっそりと在野に暮らす特殊な能力を持つ一族を主人公にした連作。どれもすごくいい。かつて筒井康隆の七瀬シリ…

「スペース」シリーズ(3部作) 加納朋子

「スペース」加納朋子 東京創元社 創元クライム・クラブ 前2作から10年を経て書かれたシリーズ3作目だが作中の時間は連続している。駒子が瀬尾さんに委ねる最後にして最大の謎。手紙に書かれたこと書かれなかったこと。「バックスペース」では語り手が代…

7月中旬 倉知淳、群ようこ、中島たい子

「ほうかご探偵隊」倉知淳 講談社ミステリランド2100 小学校高学年辺りをターゲットにしたこのシリーズがとても気に入っている。バラエティに富んで、作家さんれぞれの作風や創作の源がちょっぴり覗ける。その中でやっぱり多いのが、同級生グループが謎を追…

「ユージニア」恩田陸

「ユージニア」恩田陸 角川書店1700本 金沢の名家で起きた一家毒殺事件(中大垣事件)から10年、事件を目撃した隣家の3人兄妹の末娘、雑賀満喜子が学生時代に関係者をインタビューして書いた本「忘れられた祝祭」。そしてそれすら過去になった今、再び関…

「ムーン・コテージの猫たち」マリリン・エドワーズ

「ムーン・コテージの猫たち」マリリン・エドワーズ著、松井みどり訳 研究社1600本 私がひかれたのは“ムーン・コテージ”なのだけど、全編猫の話でした。誇り高き老猫セプティと新参の猫好きを魅了する美猫オットー。育児をのんきに楽しめる時代ではなくなっ…

「雀」谷村志穂

「雀」谷村志穂 河出書房新社1600本 裕福な男性を渡り歩き豪華で気ままな愛人生活を罪悪感なく続ける雀。その学生時代のダンスメイトの女4人。それぞれが独自の恋愛感を持ち、今の自分に満ち足りず何かを求めている。そんな5人を魅了する「砂漠に木を植え…

「真夜中の金魚」福澤徹三

「真夜中の金魚」福澤徹三 集英社1700本 東京でモメ事を起し九州にUターン、クラブよりは安いがスナックよりは高い程度の呑み屋「ギルビー」を切り盛りするチーフの“おれ”25歳。店の女明日香の家に転がりこんでいるが地元の暴力団幹部、岩丸が明日香に目…

「楽園のつくりかた」笹生陽子

「楽園のつくりかた」笹生陽子 角川文庫400本 エリート中学生の優が、突然ド田舎の分校に。同級生はばかまるだしのサル男、美顔のオカマちゃん、無言の根暗女。田舎生活満喫の能天気な母とボケはじめたじいちゃん。ガリベンして東大に入って一流企業に就職、…