<8月中旬の読書>

気が付いたら8月10日から本のメモが途絶えているのでした・・
これじゃ以前と同じ道を辿ってしまうことになります。なんとか建て直しましょ。

神様ゲーム」麻耶雄高 講談社ミステリーランド
さすが本格推理界の奇才麻耶雄高さん。前にも書いたけど、このシリーズは小学校高学年辺りがターゲット。作家さんの真価が問われます。 本作品は中でも一番の問題作で、これを小学生がどう受け止めるのか。いやはや。
連続猫殺しを推理する芳雄たち。同級生鈴木君は自分を神様という少年。親友が殺され、芳雄は神様に犯人に天誅を下すことをお願いする。そして起こった出来事は・・。それは真実なのか? 

「サマー/タイム/トラベラー1、2」新城カズマ ハヤカワ文庫JA各660本
信州の南の中都市、の頭でっかちなSF好きの高校生5人。ある日突然、短いタイムトラベルをする悠有。その気まぐれな才能?の開発と街に起こる連続放火事件。彼女がそれをコントロールできるようになった時、5人は狂言誘拐を企てる。
地方の小都市出身の人なら共通して持っている閉塞感、当たり前に「外」に向いた意識、いつかこの季節が終わることを判っていて、でも直球で感情を表わせない高校時代のこと、あの頃抱えていたいくつもの想いが詰まった、こそばゆい感傷小説。あえて身内だけを意識する語り口にはちょっとクセがあり、自ら読者を選んでいるようです。

「ハミザベス」栗田有起 集英社文庫480
奇妙な手触りの作品。現実ばなれした設定だけど、全く奇をてらった印象はまったくなく、二人の女性、というより女の子の交流とそれぞれの生き方が淡々と語られる。現実から少し遊離した感覚をもう少し味わってみたい。川上弘美さんや小川洋子さんを始めて読んだ時のような、今後への期待がむくむくと。