2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「夏のこどもたち」川島誠

「夏のこどもたち」川島誠 角川文庫438本 新作なのかなと思ったら、91年作。あの「800」よりも前の作品。 朽木元中学三年生、学業は優秀だけど運動はからきしだめ。なぜなら僕には左目がないから。世の中をクールに観察する立場を決めているのに、先生の…

「イッツ・オンリー・トーク」絲山秋子

「イッツ・オンリー・トーク」絲山秋子 文芸春秋1429本 蒲田に住む貧乏絵描き橘優子、EDの都議会議員本間、元ヒモのいとこ祥一、鬱病のヤクザ安田、時々会うだけの“痴漢”。自殺した同級生の死に縛られ、新聞記者の道からドロップアウトし、躁鬱で入院暦の…

「雨にぬれても」上原隆

「雨にぬれても」上原隆 幻冬舎アウトロー文庫495本 「人生、下手に生きるのも悪くないー。」といううたい文句につられて買った本。幻冬舎のWebマガジンで連載された作品らしい。取材した話を著者の主観を排除し、そのまま記す形式のショートストーリーで、…

「けい子ちゃんのゆかた」庄野潤三

「けい子ちゃんのゆかた」庄野潤三 新潮社1470 「貝がらと海の音」(新潮社)以来、生田の老夫婦の晩年をテーマにした連作の10作目。80歳を越え、二人目のひ孫が誕生し、近所のスーパー建設計画で庭先にやってくる小鳥たちの顔ぶれが変わり、大阪行きはグ…

「HEARTBEAT」小路幸也

「HEARTBEAT」小路幸也 東京創元社ミステリ・フロンティア1575 小路幸也(しょうじゆきや)さんは昨年末、「そこへ届くのは僕たちの声」(新潮社)を図書館の新刊コーナーで見かけてビビっときた作家さん。まったく事前情報なしに巡り会う作家さんって運命じ…

次の冒険、「渚にて」久世光彦

「渚にて」久世光彦 集英社1800本 装画 北久美子冒険もの続き。 クルージングスクールで遭難、南海の孤島(モアイ・キャット島)にたどり着いた少年少女。年長でリーダー格の宗近、ボーイッシュなカスミ、小柄で年下料理熱心なフライデー、体育会系の体力少…

名古屋で「アマゾニア」粕谷知世

6月中旬、3日ほど名古屋付近に出張してました。周りに何もない工場と目の前のホテルに缶詰で、Jは密かにアマゾンの奥地にトリップしてました。軽めの本ばかり読んでるJには珍しく大作、3週間ごし。「アマゾニア」粕谷知世 中央公論新社2000本 装画 高橋…

6月中旬の読書

「真夜中のマーチ」奥田英朗 集英社1500本 学生時代ヤクザなイベントで小金を儲け、そのまま半端なプロデュース会社をジリ貧で経営する健司(ヨコケン)、そのイベントの参加者、有名商社に勤め抜群の記憶力や頭の回転を持ちながらも過集中のために落ちこぼ…

6月上旬の読書

でいりーと銘打った割に、やっぱり溜めてしまうJです。「逃亡くそたわけ」絲山秋子 中央公論新社1300本 福岡の精神病院の開放病棟から逃走した躁状態のあたし(花)。連れは鬱から回復しつつあるなごやん(蓮田司)。自分の異常を自覚しながらも、薬で何か…