「真夜中の金魚」福澤徹三

「真夜中の金魚」福澤徹三 集英社1700本
東京でモメ事を起し九州にUターン、クラブよりは安いがスナックよりは高い程度の呑み屋「ギルビー」を切り盛りするチーフの“おれ”25歳。店の女明日香の家に転がりこんでいるが地元の暴力団幹部、岩丸が明日香に目をつけ窮地に。とにかく堅気でない方々ばかりが登場、夜の掟の中でもがいている。そんな折旧友の浅倉と再会、が実は浅倉は・・。筋ものになるほどの覚悟もなく、むろんまっとうな道も歩めない半端もん、面倒なことは避けてる割にキレやすく、切った張ったのやり取りをしている割に危機感もない。“北九州の夜を書いた良い青春小説”との評判で読んでみたけど、私にはむしろファンタジー以上に現実感がないなぁ。面白くなさそうな顔に時折情のかけらが覗くあたり、この頼りなさが青春小説か?