「楽園のつくりかた」笹生陽子

「楽園のつくりかた」笹生陽子 角川文庫400本
エリート中学生の優が、突然ド田舎の分校に。同級生はばかまるだしのサル男、美顔のオカマちゃん、無言の根暗女。田舎生活満喫の能天気な母とボケはじめたじいちゃん。ガリベンして東大に入って一流企業に就職、エリート街道まっしぐらという、自己中心的な優の将来のビジョンは滅茶苦茶に。思い通りに行かない中学生活、周りとの摩擦、ささくれ不満だらけの優。実は驚きの仕掛けがあって、周囲に助けられようやく優は自分の立場を受け入れられる訳だけど、不満も苛立ちも反発も正に青春ど真ん中ストーリー。そう若いってことも時に生きにくいものなんだよなぁ。
最近勢いがいいヤングアダルト(解説の北上次郎氏曰く平成・ムーヴメント)でも笹生さんは一番人間を書くのが上手いと思う。