「ペギー・スー 鄯魔法の瞳をもつ少女」

「ペギー・スー 鄯魔法の瞳をもつ少女」セルジュ・ブリュソロ 金子ゆき子=訳 角川文庫552
印象な表紙絵(町田尚子さん)でずっと気になっていた作品、今回文庫化。
人類でただ一人悪いお化けが見え、その力ゆえに嫌われ、お化けたちの悪戯で厄介な立場に立たされるペギー・スー。一家が引っ越した町で“見えざる者”たちの悪巧みが始る。突如現れた人を天才にする青い太陽の光、人間の欲が起こす争い。やがて青い犬に率いられる知能を上げ、テレパシーを使いこなす動物たちによる支配。ペギー・スーが自分を見守る妖精アゼナを心の支えに初めての友だちダットリー、ソニアらと事態に立ち向かう。滑稽でさえある出来事には皮肉な視線が感じられ、絶望すれすれの忍耐、怒りゆえの勇気、そして唯一の能力ゆえの孤独、淡い恋心も友情も踏みにじられる運命、子供向けとは思えない過酷なまでのストーリー展開、フランス恐るべし。
(著者はフランスのスティーヴン・キングと称される大御所で、本書は初めてのファンタジーだそう。)
ペギー・スー(1) 魔法の瞳をもつ少女 (角川文庫)
ところでこのお話帰省中に読んで姪っ子にあげたんだけど、こどもに本をあげることがいいことなのか、悪いことなのか、未だ私にはわからない。確かに読書には内面の世界を育て、教養知性を高める場合もあるかもしれない。でも多くの場合読書は単なる娯楽。私なんかファンタジーをうまく卒業できず、未だに現実よりも誰かの想像世界に捉われ、無用な所有欲に踊らされているんだから。