7月最後 中島京子、「言葉少年」

「さよなら、コタツ中島京子 マガジンハウス1400別
雑誌記者のお仕事を通じて、自分の中にストックされていったいろんな「部屋」とそこに住む人たちを小説にしたとのこと。36歳の誕生日を迎える独身女性が男を待つ部屋(表題作)過去の女性を夢に見る結婚間近の男、外国人も多く住む古い安アパート、だだっ広い相撲部屋と弟子達、ボケ始めたおじいちゃんが混沌とした過去とともに暮らす部屋など。突出した印象はないけど、しんみりとそつなくまとまっている。

「言葉少年」新沢としひこ 版画・保手浜孝 クレヨンハウス1300本体 月刊「クーヨン」に連載のエッセイ。新沢氏は保育園勤務等を経て現在は子どもの歌から演歌まで聴かせるシンガーソングライターらしい。氏の子ども時代の思い出が面白おかしく、鮮やかに描かれる。子どもだっていろんなことを考えてて、みんな同じではないんだな。エピソードと保手浜孝さんの版画がぴったりマッチしてる。心惹かれるタイトル、すっきりした装丁、実に美しく楽しい本に仕上がっている