「イッツ・オンリー・トーク」絲山秋子

「イッツ・オンリー・トーク絲山秋子 文芸春秋1429本
蒲田に住む貧乏絵描き橘優子、EDの都議会議員本間、元ヒモのいとこ祥一、鬱病のヤクザ安田、時々会うだけの“痴漢”。自殺した同級生の死に縛られ、新聞記者の道からドロップアウトし、躁鬱で入院暦のある私、それでもなんとか生きてる女と社会性と魅力の座標の中で、マイナスに位置するであろう人物達ばかりの物語。癒し系という言葉は安易すぎるけど、大丈夫と感じさせてくれる小説。第七障害は珍しくストレートに爽やか。馬術競技の大会中に障害に失敗し馬を死なせてしまった罪悪感から群馬から逃げ出した順子。そして偶然であったかつての仲間篤と心の垣根を越えるまでの道のり。順子が群馬に焦がれるのがとてもいい。群馬に住みたくなる(笑)。