「沼地のある森を抜けて」梨木香歩 /2

「沼地のある森を抜けて」梨木香歩 新潮社1800本一族の家宝である“ぬか床”を引き継いだ久美の周辺に発生する、不可思議を綴った幻想的な物語が、後半、一族の故郷「島」に向かうところから、物語は一気に生命への壮大な思索への突入。
エッセイ「ぐるりのこと」でも終始こだわっていた自己と他者の境界についての自問自答は今も続いている。こんな哲学、生命論を小説でやってしまう辺り。そして、ラストの不思議な交歓は梨木さんの新しい試みかとも思うので、今後にますます注目。
沼地のある森を抜けて