連休中盤の読書(会社にも出てみたりして)

海月書林の古本案内」市川慎子(のりこ) ピエ・ブックス発売元 1600本
ネット古書店海月書林」の店主さんが紹介する愛らしい古書たち。「オンナコドモ」というのは男性目線のやや舐めた呼称であったと思うけど、なんのその世の中はオンナコドモの趣味嗜好で動いてきた部分が案外に大きい。そして、仕事第一で生きてきた日本の男性諸氏には立ち入れない領域を感じさせ、今だからこそよい言葉だなぁ。年を経た本たちは、良い本を作りたいという熱意、そしてそれを求め愛でた人たちの愛情をまとい、実に美しい。現在はより多くの本や雑誌が出版されるのだけど、”消費”されることが前提の出版は同時に本のありがたみを薄くしてもいる。

「絵本のあたたかな森 たいせつなひとに伝えたい、愛のかたち」選・文今江祥智 淡交社1500本
『はじまりはじまり−絵本劇場へどうぞ』(淡交社1200本)大人になった現在(いま)読んでみたい絵本100選というガイド本の続編で、テーマや数を絞って、とっておきの絵本を紹介した本。なにしろ今江さんの推薦であるので、もう読みたい気持ちをそそる。斬新な発想、視点で絵本の新しい世界、魅力を広げてくれる作品ばかり。今江さんご自身の柔軟な感性を感じる。

「骨董屋征次郎京暦」火坂雅志 実業之日本社1700円本体
「骨董屋征次郎手控」の第2弾。京夢見坂の骨董屋征次郎、時代は幕末から維新を経て明治の新時代に。政治や経済が大きく音を立てて変化し、骨董の世界も大きく翻弄され不況風が吹く。そんな中、征次郎の元には武家社会の亡霊のようなあだ討ち騒ぎや、攘夷の残党やら、居留地の異人の蒐集家相手の儲けをたくらむやから、新政府への賄賂などの騒動がもちこまれる。なじみのハタ師兼吉は太夫に入れ込んだり、三十六歌仙絵巻をエサに征次郎の敵、猪熊玉堂、京の裏社会の顔坂東文次郎、京都府参事槇村らのしくんだ政府高官への賄賂のカラクリに利用される。時代の変遷の中で、真に価値のあるもの美しいものは、人の心を魅了する。征次郎は骨董に魅せられた自らの性を知りつつも、小染と生きる覚悟を決める。
(写真はシリーズ1作目)骨董屋征次郎手控