連休前の読書、「古道具 中野商店」川上弘美

「古道具 中野商店」川上弘美 新潮社1400本 

どうも「手仕事」「古道具」「骨董」「職人」とかいった言葉に弱いんでアル(笑)。
古道具屋(骨董とかアンティークではない)を営む、中野さんと姉のマサヨさん、アルバイトのわたし(ヒトミ)とタケオ。愛人さんや、少しだけ可笑しなお客さん達。特別な出来事はない、あたりまえの日々、中野さんマサヨさんは実にテキトーで自由、でも憎めない。対照的にぼんやりと真面目で、不器用なヒトミ達。変わり映えしないようでも少しづつ時間は流れ、タケオへの気持ちは不器用にこじれていく。
最後の章では、中野商店は休業、別人のようになった二人はばったり再会、なんだか別の新しい物語が始まる。それでもあの頃のぼんやりとした時間はヒトミやタケオの内に確かに存在している。熱に浮かされて暮らすのが生きがいの人もいるだろうが、こういうふうになんとなく生きていくも幸せと思う。心地よく、少し寂しい、ときどき本棚にあるのを確認して安心する、そんな小説。(ってか、ときどき読んだらいいんちゃうの、笑)
古道具 中野商店