本屋大賞、「夜のピクニック」恩田陸

第2回の本屋大賞が発表されましたね。今回のノミネート作品10作のうち、Jのイチオシは梨木香歩さんの「家守綺譚」でしたがこれは第三位。どちらかというと人に教えず密やかに読みたい本ですが、いい味なんでもっと多くの人に読まれるといいなぁと。もちろん恩田陸さんの「夜のピクニックも抜群によい作品ですが、彼女はすでに人気作家さんなので。つい先日読んだ「明日の記憶荻原浩さんは第二位。

はじめて読んだ恩田作品は確か「不安な童話」、しばらく置いて「6番目の小夜子」かな。「常夜物語」「月の裏側」「ネバーランド」と作品の振れ巾に驚き、奇想天外なストーリーをぐいぐい読ませる力に感心、学園シリーズでは独特の幻想的な雰囲気に魅了されすっかりとりこに。恩田さんは大人の一歩手前くらいの年齢層の人物を描くのが本当にうまい。あと私は恩田さんの書くあとがきが好き。小説や映画への感銘と愛情を、きちんと自分の作品に転化できる才能を持ってる。そして自らをエンターテインメント作家と言い切る覚悟、グレード!

夜のピクニック」は異母きょうだいであることを隠した同級生の西脇融と甲田貴子の二人を軸に、高校最後の行事”歩行祭”の一夜を描いた話。二人の間に渦巻くいろんなの感情や心の揺れはもう、味わってみるのが一番なのだけど、この物語をこんなにもイトオシク感じさせるのは、二人を取り巻く友達がそれぞれに魅力的だから。劇的な人生を生きる人は多くはない。でも友人達に恩田さんが割り振った役割に物語の主役でない人もかけがえない”青春”の日を生きているのだと、だれかの物語の脇役であることも悪くないと感じる。かなり昔の、私自身の特別な日々を思い起こす。ちなみに私のひいきは融の親友戸田忍くん。恩田作品では有機的につながりが発生することもよくあるので、またいつの日か、もう少し大人になった彼に出会えるのでは・・・とまたまた恩田作品にハマっていく。

一時期、出るとすぐ読む作家さんは真保裕一さんと宮部みゆきさんであったけど、いまや二人の作品は脅威の厚さに達し、読むのにかなりの覚悟が必要。それですぐよむ作家さんは恩田さんと石田衣良に変りましたデス

ところで私が、ポイントが点くという理由で利用している本屋さん(有隣堂川崎BE店)では、本屋大賞コーナーが設置されているが、見事に順位紹介が実際と間違ってぐちゃぐちゃ。買う気満々だった別冊本(本の雑誌社)も意欲がうせました。こういうときは、きちんと本屋さんに意見すべきでなのか?でも誰に?この賞は本屋の店員さんの善意によって運営されていて、自らの投票によって順位が決まっているというのに、売れればいいのか?残念。
夜のピクニック