日曜の夜と「明日の記憶」荻原浩

日曜の夜になると明日から始まる一週間を思って憂鬱になる人は多いみたいですね。(「サザエさん症候群」ってやつ)私も日曜の夜になると、何故か休みにできなかったことをやりだしたりする。たまったビデオを見たり、お風呂掃除や掃除を始めてみたり。今週は、読みかけの本をついつい読み始めてしまい、つい3時まで・・

明日の記憶荻原浩 光文社1575 
広告代理店の営業部長、佐伯、50歳、大きな仕事の受注に奔走し、顧客に振り回される。一人娘は結婚間近、不眠と頭痛に悩まされ若い部下らに自らの年を感じる。そんな当たり前のサラリーマンに突然下される若年性アルツハイマーの診断。徐々に進行する物忘れ、仕事に対するプライドと、自らへの苛立ち、仕事での失敗を恐れ山ほどのメモをしたため・・が、突然陥る未知の世界、現実を直視できない妻、鮮明に浮かぶ過去と失われる日常、そしてやがて恐怖さえも消えていく。「今」からドロップアウトする恐怖から、後半より深刻な自分の過去を、家族の記憶さえも喪失する恐怖へ、これはいずれ起こる誰もの将来でもある。”泣ける”と評判の作品だけど、感傷的になるには本気で怖すぎ。私の一番失くしたくないものはなんだろう。ずいぶん前に読んで細かいところは忘れてしまった「アルジャーノンに花束を」を連想した。読んでみよう。